ボンドグラフの基礎:7
2ポート素子
TF素子
TF素子はTransformerつまり変圧器です。外部信号により変数の比を変えることのできるものは可変トランスフォーマ(Modulated transformer)と呼ばれ、記号MFTであらわされます。電気系では変圧器、機械系ではレバー、減速歯車などに相当します。理想的にはパワーをそのまま伝えるだけで、損失や貯蔵はありません。nは変換比です。
上段のボンドグラフは左側からフローf1が進入し、エフォートe1となって戻ると理解します。変換比nですから、フローf2はf2=n× f1でなくてはなりません。出口のエフォートe2はパワーが保存されることから、e2=e1/nとなります。下段の場合は、エフォートが進入し、フローが戻る関係です。なお、この変換比の規定の仕方は文献[1]と[2]では逆になっていますが、Karnopp以来の慣習に従い、ここでは[2]に従っています。
GY素子
GY素子はジャイレーターといい、TFと同様の2ポート要素です。TF素子と同じように変数比が可変の場合には、記号MGYであらわされます。ジャイレータは一方のポートのエフォートが他方のフローに比例する特徴があります。ジャイレーターも理想的には損失は0であり、可逆的であるなどトランスフォーマーと共通しているところがあります。例としては、小型モータがありますが、通常トルクは電機子電流に比例し、電機子反作用(逆起電力)は回転速度に比例するとされます。パワーは保存されますから、両者の比例係数は等しくなります。当然ですが、e1× f1=k× f2×e2 /k=e2× f2です。
MGY素子
MGY素子は可変ジャイレータといい、GY素子の変数比rが固定ではなく、可変の場合を言います。