ボンドグラフの基礎:5

単ポート素子:2

C素子

下図にC素子の具体例を電気系、機械系、流体系のそれぞれについて示します。 電気系は電気コンデンサであり、機械系はばね、流体系はアキュミュレータに相当します。それぞれの系においてエフォート(e)あるいはフロー(f)に相当する物理量は1:ボンドグラフにおける物理量をご覧ください。また、C素子記号と特性式については、2:ボンドグラフの素子をご覧ください。

電気系機械系 流体系
コンデンサ ばねアキュミュレータ

Cコンプライアンス コンプライアンス流体コンプライアンス

特性式
  電圧[V] 力[N] 圧力[P]
電流[A] 速度[m/s] 体積流量[m^3/s]
  C:キャパシタンス[F] k:ばね定数[N/m] C:体積圧力比[m^3/Pa]

C素子のボンドグラフは図のようになります。なお、

の関係があります。また、電気キャパシタでは、

です。キャパシタンスを一般化してコンプライアンスと呼びます。機械系ではばね定数kの逆数をコンプライアンスとします。なお、流体コンプライアンスは圧縮性を考慮する場合がありますので、別に解説します。体積圧力比とは、

です。ここにA:アキュミュレータ断面積[m^2]、密度:[Kg/m^3]、g:重力加速度[m/s^2]

ブロック図で示すと、左図のようになります。フローfは積分され、qとなります。qの初期値q(0)を含むqに1/Cを乗じるとエフォートeが得られます。C素子はエネルギー保存素子と呼ばれます。ばねの場合には、力を加えてばねが変形すると、外部からのパワーは弾性変形エネルギーの形でばねに蓄えられます。ばねがもとの長さに戻る際には、エネルギーはボンドを通じて放出されます。こうしてエネルギーが保存されます。

I素子

下図にI素子の具体例を電気系、機械系、流体系のそれぞれについて示します。 電気系はインダクタであり、機械系は直線および回転運動における慣性、流体系は流体管路における慣性に相当します。それぞれの系においてエフォート(e)あるいはフロー(f)に相当する物理量は1:ボンドグラフにおける物理量をご覧ください。また、I素子記号と特性式については、2:ボンドグラフの素子をご覧ください。

  電気系 機械系 流体系
  直線運動系 回転運動系  
電気コイル 台上の質量 はずみ車 流体慣性
I イナータンス イナータンス イナータンス 流体イナータンス

特性式
  電圧[V] 力[N] M:トルク[NM] P1-P2:圧力差[Pa]
  電流[A] 移動速度[m/s] 回転角速度[rad/s] 流量[m^3/s]
  インダクタンスL[H] 質量m[Kg] 慣性モーメントJ[rad/s/N/m] 流体慣性I:[Kg/m^4]

I素子のボンドグラフは図のようになります。なお、

の関係があります。また、

です。慣性Iを一般化してイナータンスといいます。なお、流体系は流れを考慮する場合には、この表現は異なってきますので、別に解説します。

ブロック図で示すと、左図のようになります。エフォートeは積分され、pとなります。pの初期値p(0)を含むpに1/Iを乗じるとフローfが得られます。p(0)はエフォートfが変化する前の初期電流あるいは初期速度です。I素子もエネルギー保存素子と呼ばれます。台上の質量では、力を加えて速度が得られると、外部からのパワーは運動エネルギーの形で質量に蓄えられます。速度が減少する際には、エネルギーはボンドを通じて放出されます。こうしてエネルギーが保存されます。

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