ボンドグラフの基礎:4

ボンドグラフの標準的素子

ボンドグラフの素子の項に素子リストを掲げました。この表から各素子は単ポート、2ポート、マルチポートの区別があることがわかります。また、各素子のポートには片矢印がついています。これは矢印の方向に流れるパワーを正と規定します。ポートには縦線がついていますが、これはストロークと呼ばれ、ボンドのどちら側でエフォートが入力となるかの指定をするもので、因果関係を示します。各素子には特性式の項があり、入出力の数学的関係が示されます。

単ポート素子

単ポート素子には、一般化した抵抗、インダクタ、キャパシタ、電圧源、電流源があります。それぞれ、R素子、I素子、C素子、SE素子、SF素子と呼ばれます。一見して分かるように電気回路要素の一般化です。さらに、表には記載していませんが、電圧計、電流計を一般化したエフォート検出器DE素子、フロー検出器DF素子がありますが、少し使い方が難しいので別項で説明します。

R素子

R素子には、電気系では抵抗、機械系では摩擦、ダンパーがあります。流体系ではでは、オリフィスがあります。機械系では摩擦が常に存在し、熱となって放散されます。

電気抵抗はほぼ線形であり、抵抗に比例してエネルギー損失が生じます。
機械系摩擦では、クーロン摩擦のように速度に比例しない摩擦と粘性摩擦のように速度に比例する場合があります。粘性摩擦は次の式で与えられます。Rの単位は[Ns/m]

外部からフローを与えると、それに対してエフォートが決まる場合と、逆に外部からエフォートを与えると、それに対してフローが決まる二つの場合があります。前の場合を抵抗形、後の場合をコンダクタンス形と呼びます。図の上部が抵抗型、下部がコンダクタンス型です。

ボンドグラフの表現では、1本のボンドはエフォートとフローという二つの変数をまとめて表現します。ボンドの片方にはストロークと呼ばれる直交する直線がついています。ストロークのついている側からフローがストロークの無い方向に向かうとします。エフォートとフローを区別するために、片矢印を付けた側をフローが通り、その反対をエフォートが通ると約束します。矢印の方向はエネルギーの方向を示します。エフォートとフローの伝達の向きは反対です。ストロークを付けるのはボンドのエフォートとフローに関する因果関係を指定するための約束となっています。エフォートとフローの作用の仕方はブロック図表記ではより明確に示されます。抵抗形の表現ではフローがR素子に向かって伝わり、その結果エフォートが生じます。コンダクタンス形の表現では逆になり、エフォートが素子に伝わり、フローを生じます。素子のゲインは1/Rと抵抗形の場合の逆数になっています。

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