Tips:3

Ipe7のインストール方法

自動制御技術で用いるブロック図では、伝達関数を表示する必要があります。このため、数学記号、数式を含む図の作成ができれば大変便利です。このソフトはテキストにLaTeXのコマンドが使用できます。ボンドグラフ作成にも大変有用です。また、ドローソフトとして様々な図形作成にも便利です。

この項はWin10によるテストをしています。Win7とは若干違いますのでご注意ください。

The Ipe extensible drawing editor(図1)のDownLoadsの項をクリックし、さらにWindows Binaryをクリックします。Download(図2)のページから Windows binary versionのipe-7.2.24-win.zipをダウンロードします。(ipe-7.2.24-win.zip,2021.11.7時点最新版)

図1:The Ipe extensible drawing editor

図2:Ipe7のダウンロード

ipe7.2.24-win.zipを解凍し、適当なディレクトリに置きます。これで、Ipeのインストールは完了します。ipeを起動するには、c:\ipe\bin\ipe.exeをクリックし、"管理者として実行"を選択します。IPE7においてLaTeXを用いる必須事項です。LaTeXを使用しないのであれば、ipe.exeのショートカットをスタート・メニューやデスクトップにおいておくのも良いでしょう。

MiKTeXのインストール

次にLaTeX環境のインストールを行います。IpeのLaTeX環境ではMikTeXのインストールが必須となります。MikTeXとそれ以外のLaTeX環境の共存は可能です。

MikTexのサイト(図3)のDownloadの欄:MikTeX2.9をクリックします。

図3 MikTeX Site

図4の"Basic MiKTeX 2.9" Installer欄のDownloadをクリックします。

図4 MikTeXのダウンロード

"Download"をクリックすると、同意が求められ(図5)、インストール範囲の設定後にインストール先の指定をします(図6)。インストール先は任意です。設定、設定の表示がされ(図7)、実行表示がされます(図6)。次へをクリックすると、インストールが開始されます。終了の表示がされインストールは終了します(図8)。環境変数の設定変更は不要です。

図5 同意の要求

図6 インストール先の指定

図7 設定の表示

図8 インストールの完了

インストール完了後にコンソールの設定をしなければなりません。

コンソールの設定とLaTeXのテスト

図9 MikTeX Conssole

"Windows スタート">→"すべてのプログラム"にある"MikTeX2.9"から"MikTeX Console"をクリックします。初めに"update"を行い、不足のファイルを更新します(図9)。

図10 MikTeX Conssole:Setting

IPE7とのリンクを設定するため、"Setting" → "Directories"を選択します。"+"を選択し、"IPE7"のフォルダを加えます(図10)。

MikTeXによるLaTeXのテスト

適当なディレクトリ、例えば、c:/LaTeXWorkにつぎのようなファイルをUTF-8で適当な名称"HelloX.tex"で保存します。コンソールを起動し、"HelloX.tex"をオープンし、タイプセットします。図11の結果が出ると成功です。

\documentclass{scrartcl}
\begin{document}
Hello, world!

\LaTeX
\end{document}

図11 HelloX.texのタイプセット

日本語入力のテスト

適当なディレクトリ、例えば、c:/LaTeXWorkにつぎのようなファイルをUTF-8で保存します。


neko.tex
\documentclass[a5paper]{article}
\usepackage{CJKutf8}
\begin{document}

\begin{CJK}{UTF8}{ipxm}吾輩は猫である。名前はまだない。

どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。

ニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

吾輩はここで初めて人間というものを見た。\end{CJK}

\begin{CJK}{UTF8}{ipxm}夏目 漱石\end{CJK}



\end{document}

コンソールからneko.texをオープンし、タイプセットします。


コンパイルが成功すると、図12の結果となりneko.pdfが得られます。MikTeXでのpdflatexによる日本語入力は、IPE7における日本語入力の前提です。日本語入力テストは定期的にするのがお勧めです。なお、IPE7での日本語設定方法は全く異なりますので、ご注意ください。(参考)

図12 neko.texのタイプセット

Ipe7におけるLaTeXのテスト

IPE7を起動します(図13)。直線、曲線等のオブジェクトは画面から直観的に生成できます。ツールバーの適当するオブジェクトをキャンパス上で、クリックするとオブジェクトの始点となります。右クリックするとオブジェクトの終点です。ショートカットキー[Ctrl+E]で編集モードに移行します(図14)。直線やあ曲線の編集モードでは、画面左下のステータスバーに編集メッセージが表示されます。(図15)。

図13 Ipe7起動後の画面

図14 Ipe7編集画面

図15 編集モードのステータス画面

編集モードの操作を表にまとめます。

表1:編集モードの操作一覧
操作 機能解説
左クリック insert vtx選択中の頂点の間に新たに頂点を追加
Shift+右クリック Move vtxカーソル付近の頂点を移動
右クリック select vtxカーソル付近の頂点を選択
O Other insertion edge選択中の頂点をもう一方に変更
Del Del vtx選択中の頂点を削除
Space accept edit編集を反映して終了
Esc quit edit編集結果を破棄して終了

テキストオブジェクトの挿入

Ipeの最大の魅力であるLaTeX形式のオブジェクトの生成について解説します。このモードは管理者権限での起動が必要です。まず、画面上部ツールボックスのテキストレーベルAをクリックすると(図16)、テキスト入力画面が現れます(図17)。ここで、例えば\LaTeXと入力し、OKとした後、File→Run LaTex(または、Ctrl+L)とすると、タイプセットされ、画面に結果が現れます(図18)。タイプセットすると画面に緑色の斑点が現れますが、これは"GsView"とのなんらかの不適合によるもののようです。プリントすると消滅します。オブジェクトの移動はMode→Select objectsとして、オブジェクトを選定し、Mode→Translate objectsにより画面の適当する位置に移動します。必要に応じてpdfもしくはeps等の図形形式により、指定の箇所にセーブできます。

図16:テキスト入力モードの選定

図17:テキスト入力

図18 タイプセット結果

テキストでは\LaTeXの文字をタイプセットすると、

となります(高さ20px)。14pxとすると不鮮明となります。 mimetex.cgiを使用すると、となります。mimetexよりもタイプセット性能は良いように思われます。なお、Ipe自体のタイプセット結果はPostscriptファイルですから、画面上で拡大縮小しても不鮮明にはなりません。

お断り:Ipe7はβ版です。使用にあたりご承知おき下さい。

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