シミュレーションの演習

GS19ジェットパイプ式サーボ弁

JetPipeサーボ弁

油圧系における制御弁はほとんどがスプール弁タイプとされています。[1]p282にはジェットパイプ式サーボ弁のシミュレーションが記載されています。左図はその模式図であり、[1]にはコレクタ部分の流体の運動量の式が記載されています。引用されている原論文が未入手なので、この式と[1]のボンドグラフも実際のところ私には理解できていません。この例題は[1]では進んだ応用例とされていますので、もしかすると要点のみ記載し、細部を省略しているのかも知れません。
なお、ジェットパイプ式サーボ弁は現在では実用化されているようです[参考]。ここでは、単に[1]の記載をなぞり、シミュレーションした記録のみを記載します。BGSPではシミュレーションできず、20-Simで行いましたが、BGSPでなぜできないのかも、いまのところ分かりません。
左図の上部は磁気アクチュエータであり、左右に移動します。真ん中にスプールの両端面に流体を送る2個のコレクタ孔があります。この弁のジェットの直径は2[mm]、コレクタ孔の直径が0.3[mm]、スプールの直径は7[mm]、長さ50[mm]とされています。

上の図は[1]に記載されているジェットパイプ式サーボ弁のボンドグラフです。このボンドグラフはTUTSIMを前提として書かれているので、TUTSIM特有の符号があります。

CONConstant
GAI係数倍
FNC関数
ABS絶対値
MUL乗算

下に20-Simによるシミュレーションのボンドグラフを示します。ここで、Gain、Gain1とされる増幅器はx429及びx329を検出するためです。

下にシミュレーションの結果を示します。上部がステップ入力に対するものであり、下部は2[ms]のパルス入力に対するシミュレーションです。[1]p286と比較するとステップ入力の場合はx231とx531の応答は同じように見えますが、P329とP429の応答は似てはいるものの異なっています。P429の応答が色違いで少し見にくいのですが、これはプリントの設定ミスです。また、[1]ではx231の初期条件を-1[mm]にしていますが、そうすると全く異なる応答になりますので掲載しませんでした。パルス入力の場合にはかなり異なって見えます。[1]ではx231は-1[mm]のところで磁気アクチュエータの移動限界が設定されているように見えますが、[1]のボンドグラフ上ではこのような要素がありません。[1]と全く違うのはP329とP429が逆位相に見えることです。パラメータになんらかの違いがあるのかもしれません。原論文の入手後に報告したいと考えています。