シミュレーションの演習

GS15:ラム式水撃ポンプ

上の図はラム式水撃ポンプの模式図です。右側のフロー源SF11から供給される水はリリーフ弁R13により圧力が一定に保持されます。水は衝撃管とよばれるメイン管を加速しながら流れますが、流れが遅い間はラム弁R25は開いているので、水はこの弁を通り、管外に流れ出ます。水の速度が早くなるとラム弁は急激に閉じ、衝撃圧が発生し、チェック弁R28が開かれ、高い位置にあるリザーバに水を持ち上げます。衝撃圧が下がるとラム弁は再び開き、チェック弁が閉じられ、再び水が加速されます。

ラム式水撃ポンプは既に200年前に発明され、電動機やガソリンエンジンによる駆動ポンプに取って変わられるまでよく用いられたとのことです。今日においても電力が通じない発展途上国の地方においては有用であるとのことです。なお、興味深い記事をインターネット上でみることができます。

ボンドグラフを下に示します。ここでC14およびC24は因果関係を正しくするため、付け加えられたものです(ボンドグラフ計算の都合です。なお、Tipsで説明します)。衝撃管は破線で囲まれた部分であり、インダクタンスI220及び抵抗R230から構成される零次モードとその上の1、2次モードを合成して作られています。この項の主題は、分布常数系のシミュレーションをモード合成法により行うことです。関数設定が与えられていますが、この根拠は[1]でも不明です。

シミュレーション結果

シミュレーションの結果を下に示します。圧力P24はほとんど方形波状であり、この出力圧によりチェック弁R28を通り、高い場所のタンクに水を運びます。入力圧P14は出力圧より少し遅れて立ち上がりますが、その遅れ時間はラム弁が閉じてからおよそ3.5msです。なお、このシミュレーションはモード合成法によっています。

20-Simによるシミュレーション

20-Simによるシミュレーションのボンドグラフを下記に示します。R281、R231、R131についてはフロー側に関数設定がされていますが、コードで関数を設定しています。

シミュレーション結果は下図のとおりです。当然ですが、BGSPの場合と一致しています。Q25の一部(t=0.02[s],T=0.04[s])においてピーク値が相違しますが、C24のエネルギーが流出する計算において、積分計算が異なるためです。