シミュレーションの演習

GS10:自動変速機の油圧回路

自動変速機

左図は自動変速機の模式図です。自動変速機は遊星歯車から構成される変速機構、油圧制御機構などから構成されています。切替バルブが作動するとクラッチ装置内のピストンに油圧が作動します。クラッチは2軸間の回転動力を伝達する機械要素であり、2本の軸の回転速度を制御するものです。バルブとクラッチは管路で結合されています。ボンドグラフを左下図に示します。このシミュレーションはBGSPで行ないます。

ボンドグラフ

油圧源SE10に接続されるR12は流路抵抗であり、C13は管路容積、C13のゼロジャンクションに接続されるR15はリークを表します。TFはピストンの面積比であり、油圧を力に変換することを表します。I24はピストンの慣性、C23は非線形ばねです。"1"ジャンクションに接続されるR22はピストンに作用する摩擦です。ピストンの変位が限界に達したら停止するようにSE25を入れ、慣性I24のディスプレースメントを検出し、停止させるようにしています。このコードはTipsで別に説明します。非線形ばねC231のエフォートに関数231が入るようにしています。

シミュレーションの結果

シミュレーションの結果を下に示します。これは[1]図4.26と似ているが異なる点もあります。このシミュレーションではピストンに加わる力P24はほぼ一定ですが、これはクラッチの噛み合いからも納得できます。[1]図4.26でははほぼランプ状に上昇しますが、この図ではそうではありません。加わる力が一定なので、速度FL24がほぼランプ状に上昇しているからです。[1]図4.26ではピストン移動距離 がランプ状に上昇するとはピストンが単に慣性速度で移動していることになりますから、ピストンに加わる力がゼロにならなくてはなりません。すなわち、切替により油圧が加わった時点でパルス状の力が加わり、ピストンが0.4移動した時点でストッパにあたり、再び逆方向にパルス状の力が加わると解釈されます。ばねの非線形性だけでこれが実現するとは考えにくいことです。また、[1]図4.26ではP13が0.1~0.2秒において0.05[MPa]であり、0.2秒時点で0.6[MPa]に跳ね上がります。しかし、ボンドグラフから考えても、油圧回路から考えてもP13はクラッチへの油圧配管入り口ですから、配管抵抗が低いことから考えにくいとおもわれます。従って、[1]p128の説明には分かりにくい点が存在しています。